皆様、こんにちは!
今回は食中毒第2弾!!
前回は発生件数が高水準で推移している【カンピロバクター】と【ノロウィルス】についてお話しました。
前回の記事はコチラ
現在、家庭内での食中毒発生原因において、自然毒食中毒を除くと、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌の順で多く発生しています。
「厚労省 食中毒事件録より」
自然毒中毒とは、具体的にはキノコ狩りで採取した毒キノコを誤って食す、人体にとっては有毒であるスイセンの葉をニラと間違えて食し食中毒を起こすなど、私たちが普段スーパーなどで買い求めている食材によく似た毒素を含んだ植物を食べて食中毒を起こすなど、毎年必ず発生しているため皆さんもニュースなどで耳にしたことがあると思います。
自然毒に関しては、テレビや雑誌などのメディアである程度の危険性の周知や注意などが行われていますが、サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌は名前は聞いたことがあるがどのようなことに注意すれば良いのか、またその特徴などについてはあまりよく知られていないのが現状です。
そこで、家庭内での食中毒発生対策として、今回は各菌の特徴や注意点などについてお伝えできればと思います。
【サルモネラ菌】
ヒト、家畜、鳥類、爬虫類などの腸管内からしばしば検出されます。
サルモネラ菌といえば卵という印象がある方も多いと思いますが、菌は卵の中だけでなく卵の殻の表面にも付着している可能性があります。
そのため、スーパーでパック入りの卵を購入後、自宅の冷蔵庫に入れる時はパックから出さずそのまま卵入れにセットする方が食中毒のリスクを下げると言われています。
特徴① 35℃~37℃で繁殖速度が高まる。
⇒必ず冷蔵保存しましょう。
特徴② 加熱に弱く、60℃20分で死滅する。
⇒きちんと加熱することで安心して召し上がれます。
主な症状:高熱(38℃~40℃)、下痢、腹痛、嘔吐
高熱は食中毒菌の中でもサルモネラ菌の最大の特徴と言えるかもしれません。
主な原因食品:食肉、鶏卵およびその加工品(シュークリーム等に使われる卵液など)
この20年余り、卵調理食品から肉類またその加工品、複合調理食品など食中毒の多発の変遷がみられていますが、そんな中、厚生労働省では卵のサルモネラ菌中毒を防止する目的で1999年11月1日より、殻付き卵については生食の賞味期限表示を義務付けました。
スーパーなどで売っている卵に表示されている賞味期限とは「生食しても大丈夫」である期限となります。
ですから、生卵の状態で召し上がる際は表示の賞味期限をチェックし早めに召し上がることをお勧めします。
{予防対策}
ここでは、「つけない」「増やさない」「殺菌」という3つのキーワードでお伝えしたいと思います。
1.つけない
家庭内で特に注意が必要なのは、調理器具による二次感染です。
調理後の器具類の洗浄や消毒をしっかり行ってください。
加えて、サルモネラ菌は卵黄成分内にいると増殖が激しいため、溶き卵の状態で放置をしないなど調理中の扱い方にも注意しましょう。
2.増やさない
サルモネラ菌は、増殖する最低温度が5.2~6.8℃と言われています。
そのため冷蔵庫内では増殖しにくいため、冷蔵保存が好ましいでしょう。
3.殺菌
サルモネラ菌は加熱に弱いため、加熱調理が中毒防止には最も有効です。
しかしながら、日本国内の鶏卵の衛生管理レベルは世界でもトップクラスのため、美味しい生卵をいつでも食べられる環境にあります。
《まとめ》
- 生食の場合は、表示されている賞味期限をしっかり確認して早めに食べる。
- 賞味期限を過ぎた鶏卵は、中心温度が60℃の状態で20分以上加熱して食べる。
【黄色ブドウ球菌】
黄色ブドウ球菌による食中毒は、“毒素型食中毒”と言われます。
黄色ブドウ球菌が増殖する際に産生する毒素エンテロトキシンを食品と一緒に摂取することで起こる食中毒です。
一度産生されたエンテロトキシンは加熱してもなかなか破壊されません!
特徴① 身近な場所に潜む
黄色ブドウ球菌は、健康なヒトの皮膚や鼻腔、手指、頭皮などにも付着しています。
また、増殖する温度が5~47℃と広く、特に30℃~37℃で増殖が進みます。
特徴② 毒素を産生
菌の増殖過程で生まれる毒素「エンテロトキシン」は120℃30分加熱してもほとんど分解されません。
完全に破壊するには200℃以上での加熱処理が必要と言われ、一般的な調理方法では破壊できず残ってしまい、食中毒の原因となってしまいます。
主な症状:発症は急激で、腹痛や下痢、吐き気のほか、激しい嘔吐が特徴です。
発熱はなく、比較的短時間で回復します。
主な原因食品:原因食品は多岐にわたりますが、おむすびや弁当など穀類・デンプン性の食品や菓子類による食中毒が多くみられます。
{予防対策}
1.つけない
手指に傷や化膿などがみられるヒトは、直接食品に触れることは避ける。
手指に傷などがある状態で素手でおむすびを握り、菌が特に繁殖しやすい30~37℃の状態で放置することは、非常に危険と言えます。
鼻の中や毛髪にも菌はいるため調理従事者はマスクや帽子の着用が好ましいのですが、家庭では、手指の消毒はしっかり行いましょう。
2.増やさない
エンテロトキシンは10~46℃で産生されると言われているので、10℃以下である冷蔵庫での保存は食中毒防止に重要です。
3.殺菌
エンテロトキシンは一度産生してしまうと破壊することが難しいのですが、黄色ブドウ球菌自体は熱に弱い。
そのため、毒素を産生する前の加熱は食中毒防止に効果的です。
《まとめ》
- 皮膚や鼻腔、毛髪など菌が付着する場所を触った手で直接調理をせず、しっかり洗浄消毒をして調理を行う。
- 料理は常温での保存は避けて、冷蔵または冷凍保存して毒素産生を避ける。
今回は【サルモネラ菌】と【黄色ブドウ球菌】についてお話させて頂きましたが、次回は食中毒菌の三部作最終章【ウェルシュ菌】についてお伝えさせて頂きます。
良かったらチェックしてみてください!
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